顧客の「物語」を描ける事業は強い──STRYが示す“未来へ導くシナリオ設計”とSLT・BNFの連動構造

新規事業が顧客に響かない原因は、プロダクトの弱さでもマーケティング手法でもない。
最も大きいのは、顧客が“未来へ進むための物語(ストーリー)”が描かれていないことだ。
課題(PRB)が現在地点の“苦しさ”を説明し、
ベネフィット(BNF)が未来地点の“理想”を示すなら、
STRY(ストーリー)はその間を結ぶ“道筋”である。
しかし、この道筋が曖昧だと、顧客は「自分がどう変われるのか」をイメージできない。
結果としてプロダクトの価値を感じられず、行動も生まれない。
コア・ランゲージ・ハブのSTRYは、
この“変化の道筋”を構造として描き、
SLT(解決策)が“物語の必然”として立ち上がる設計思想を持つ。
■物語は「今の地点」から始まる
STRYが前提とするのは、
物語の起点は必ずペルソナの“今ジャーニー”に置くべきだ
という点だ。
顧客は、理想を見て動くようでいて、
実際には“現状の痛み”が改善されて初めて未来を信じられる。
だからこそストーリーは、次のような構造をとる。
- 今の世界(現実)
- 小さな変化の兆し(試み)
- 次の状態(変化)
- 未来の世界(BNF)
これは文学的表現ではなく、
**顧客の心理構造に基づいた“認知の階段”**だ。
■今の地点 → 未来ジャーニーをつなぐ“シナリオ”を描く
STRYが重視するのは、理想世界をただ描くのではない。
「その未来にどう辿り着くのか」を、段階的シナリオとして描くことである。
例えば、先ほど登場した香織さん(副業デザイナー)で考えてみよう。
【STRY:香織さんのシナリオ】
●1. 今の地点(現実)
- 発信への不安
- 単価を上げられない
- 依頼数が不安定
- 「このままで独立できるのか」という焦燥
●2. 小さな変化(兆し)
- 自分の強みを言語化できる
- SNSで語る内容が“まとまった言葉”になる
- 顧客の反応に変化が出る
- 価格交渉が以前よりスムーズになる
この“小さな変化”がSTRYの核心である。
顧客は、いきなり大きな未来を信じない。
日常の小さな改善が積み重なって、はじめて未来がリアルになる。
●3. 次の状態(変化)
- 問い合わせが自然に発生
- 修正が減る
- 単価が1.5〜2倍に上がる
- 副業収入が安定し、選択肢が広がる
●4. 未来の世界(BNF)
- 自分の言葉で価値を説明できる自信
- “お願いされる側”に変わる安心
- 時間と働き方の自由度が上昇
- 独立の可能性が現実になる
ここまで描いて初めて、
顧客は「その世界に行きたい」と直感する。
■シナリオを描くと、SLT(解決策)が“必然”として浮かび上がる
STRYの重要なポイントはここだ。
「良い物語は、SLT(解決策)を“必然”として生む」
つまり、
「サービスを売るためのストーリー」ではなく、
「ストーリーが自然にサービスを必要とする形になる」
という構造が必要だ。
先ほどの香織さんのシナリオを例にすると、
次のようなSLTが自然に浮上する。
- 強みと言語化を行うワーク
- SNS発信用のテンプレート
- 小さな成功体験を積むステップ設計
- 価格改定のロジック構築
- 顧客コミュニケーションの型
これらは無理やり挿入した解決策ではない。
シナリオを実現するために必須の“プロセス”としてのSLTだ。
この“必然化”がSTRYの力である。
■SLTを通じて起こる未来──BNFの世界を豊かに描く
STRYでは、SLTを提示した後に必ず行う工程がある。
■「SLTを使ったとき、どんな未来がどれだけ広がるか」を描く
これがBNFである。
BNFは単なる「メリット」ではなく、
**物語の終点に広がる“未来の景色”**であるべきだ。
例えば香織さんなら──
●SLTを用いた結果生まれるBNF(機能的)
- 依頼数:月5〜7件
- 単価:現状の1.5〜2倍
- 修正回数:20〜40%減
- 副業収入:平均20万円/月
- 未来の選択肢:独立・時短勤務・移住などの柔軟性
●SLTを用いた結果生まれるBNF(情緒的)
- 「私はできる」という自己肯定感
- 発信への抵抗が消え、自分を表現する喜び
- 価格に自信を持てる誇り
- 顧客からの信頼
- 人生のコントロール感が戻る
SLTは単なる“手段”ではなく、
BENEFIT(未来の世界)を生むための“橋”として理解される。
ここまで描いてこそ、顧客は購買を決める。
■STRYの本質:売るストーリーではなく、未来へ導くストーリー
STRYの思想を一言で言えば、
顧客の人生を一枚の物語として設計するための装置
である。
- 課題(PRB)は“今の地点”
- ペルソナ(EMP)は“前提条件の理解”
- BNFは“最終到達地点”
- STRYは“その間の道筋”
- SLTは“その道を歩くための道具”
この一連の流れが噛み合ったとき、
顧客は“この未来を買う”という判断ができる。
■結論:STRYは、SLTとBNFを結ぶ「顧客の未来シナリオ」である
BNFが示す「未来の世界」を実現するために、
どんな旅路を歩めばいいのか──。
その“旅路の物語”こそがSTRYであり、
SLTはその物語の中に“使わざるを得ない必然”として出現する。
そして、
SLTを通過した先に生まれる未来(BNF)を豊かに描くことで、
顧客はプロダクトの価値を初めて“自分事”として理解する。
STRYは、
課題 → シナリオ → 解決策 → 未来世界
という、事業の最も重要な導線を一本につなぐためのフレームである。
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