企業が「記事LP」を求め始めた理由

──SNS認知から“パーソナルな信頼”へ、静かに変わるマーケティングの重心
どの業界でも、「とりあえずSNS」「とりあえず広告」という時代は長く続いた。
しかしここ数年、静かに重みを増しているのが、文章を主体とした「記事LP(記事型ランディングページ)」である。
SNSでのさりげない認知。
noteでの共感。
記事LPでの“教育としての理解”。
そして、メルマガでのパーソナルな信頼構築から、依頼・リピートへ。
派手なバズよりも、「ちゃんと理解してから選びたい」という読者側の欲求が強まる中で、
マーケティングの重心は、少しずつ“静かな文章メディア”へと移行しつつある。
1. なぜいま「記事LP」なのか──ファネル構造の変化
まず、コアランゲージハブが想定している基本の流れを、全体像として整理しておく。
図1:コアランゲージハブが想定する情報ファネル
SNS認知
↓
note共感
↓
記事LPによる教育・理解
↓
メルマガによるパーソナルな信頼
↓
依頼(初回の仕事・購入)
↓
リピート(継続・紹介)
この図は、決して「唯一正しいファネル」ではない。
ただ、多くの業界で観察される**“自然な理解の順番”**として、かなり汎用的に機能している。
表1:各チャネルの役割イメージ
| 段階 | 主なチャネル | 読者の心理フェーズ | 企業の目的 |
|---|---|---|---|
| ①「見かけたことがある」 | SNS(X, Instagram等) | 認知・なんとなくの印象 | 存在を知ってもらう |
| ②「考え方に共感した」 | note | 共感・価値観の理解 | ストーリー・理念を伝える |
| ③「サービスがちゃんと分かる」 | 記事LP | 理解・納得 | 課題と解決策を構造的に説明 |
| ④「この人に相談してみたい」 | メルマガ | 信頼・相談欲求 | 個別の関心ごとに寄り添う |
| ⑤「お願いしてみよう」 | 問い合わせ・申込 | 依頼・購入 | 仕事・取引のスタート |
| ⑥「継続したい・紹介したい」 | 継続利用・紹介導線 | リピート・推奨 | 長期関係・LTVの最大化 |
ここで重要なのは、「いきなり売らない」ことである。
むしろ、理解の階段を一段ずつ登ってもらうための“文章インフラ”を整えることが核心になる。
2. SNSは「市場の交差点」──認知はとれても、理解はたまらない
多くの企業は、まずSNSから始める。
これは間違いではないが、「SNSだけで理解してもらう」のは物理的に難しい。
SNSでできるのは、
- 存在を知ってもらう
- 「なんだか気になる」と思ってもらう
- 別のメディアへ誘導する
といった役割に限られる。
言い換えれば、“交差点の看板”として割り切るべきチャネルだ。
ここで「売ろう」とすると、多くの場合ノイズになる。
ユーザーは、まだその企業のことを何も知らないからだ。
3. noteは“共感帯”を作る──理念と言葉の相性を測る場所
SNSの交差点から、もう少し奥へ進んだところにあるのがnoteだ。
ここでは、企業の思想やストーリーを、落ち着いて語ることができる。
表2:noteで伝えやすいもの
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| なぜこの事業をやるのか | 創業の背景、原体験、怒り・違和感 |
| どんな人の役に立ちたいのか | ペルソナの具体像、共感マップ的な描写 |
| 業界のどこに課題があるのか | 既存の慣習、見落とされているユーザーのストレス |
| どんな未来をつくりたいのか | ペルソナの理想の一日、5年後の姿などの物語 |
noteはまだ「サービス説明の場」ではなく、
「この会社・この人の考え方、嫌いじゃないな」と感じてもらうフェーズだ。
ここをすっ飛ばして、いきなりセールスに行くと、
価値観のズレに気づかれた瞬間に離脱されやすくなる。
4. 記事LPは“理解の臓器”──世界観と機能をつなぐ場所
コアランゲージハブが最も重視するのが、この記事LPだ。
一般的なLPが「売るためのページ」なのに対して、
ここでいう記事LPは**「教育と理解のためのページ」**として設計される。
図3:記事LPの内部構造イメージ
[課題の整理(PRB)]
↓
[ペルソナの現在地とジャーニー(EMP)]
↓
[理想の姿・得られる世界(BNF)]
↓
[具体的なサービス・商品構造(SLT)]
↓
[情緒性と機能性を両立した見せ方(dsgn)]
表3:記事LPで回答すべき読者の“心の質問”
| 読者の疑問 | 記事LPの役割 |
|---|---|
| そもそも、これは何の話なのか? | 課題・背景の整理 |
| それは自分に関係ある話なのか? | ペルソナの具体例 |
| どういう状態になれたら良いのか? | 理想の未来・ベネフィットの言語化 |
| 本当にその手段で解決できるのか? | ロジック・仕組みの説明 |
| 他と比べて何が違うのか? | 差別化ポイントと比較軸 |
| いま自分は何をすればいいのか? | CTA(行動の提案:メルマガ登録・相談など) |
ここでのゴールは、
「読む前よりも、状況と選択肢がハッキリしている」状態をつくることだ。
買わせるのではなく、「理解させる」。
ここに記事LPの真価がある。
5. メルマガは“閉じた信頼空間”──個別の文脈が生まれる場所
記事LPを読み終えた読者の一部は、メルマガに登録する。
ここからのコミュニケーションは、一気に“個別性”を帯びる。
図3:情報の「開放度」と「信頼の深さ」
開放度:高 ────────────────────── 低
SNS note 記事LP メルマガ
信頼の深さ:浅 ──────────────▶ 深
メルマガが他のチャネルと決定的に違うのは、
- 読者が「自分の意思で登録している」
- 読者の興味・属性に応じて話題を選べる
- ある程度の継続性を前提にできる
といった点だ。
ここでは、より具体的な事例、裏側の話、
ときには失敗談なども交え、「人間としての信頼」を重ねていける。
6. 依頼とリピートは、“理解の質”に比例して起こる
SNSで出会い、noteで価値観に触れ、
記事LPで構造を理解し、メルマガで関係が深まる。
その結果として、初めて「依頼してみようかな」という気持ちが生まれる。
図4:自然な依頼・リピートのメカニズム
理解
↓
納得
↓
小さな依頼(お試し・初回相談)
↓
成果体験
↓
リピート・紹介
ここで注目すべきは、
**「理解と納得の前に、売ろうとしない」**ことだ。
短期的な売上を追うと、どうしても、
- 強いオファー
- 限定性の乱用
- 不安の煽り
に寄ってしまう。
だが、その場しのぎの売上は、リピートや紹介につながりにくい。
むしろ、長期的な粗利とLTVを重視するなら、「理解のインフラづくり」に投資したほうが合理的だ。
7. なぜどの業界でも「記事LP」が活きるのか
この記事で扱っているファネルは、特定の業界専用ではない。
製造業、医療、士業、IT、教育、飲食…
人が「わからないものを避ける」生き物である限り、理解の順番はそう変わらない。
表4:業種別・記事LPが活きるポイント例
| 業界 | 読者が感じやすい不安・疑問 | 記事LPで補える部分 |
|---|---|---|
| 製造業 | 技術の違いが分かりにくい/価格差の理由が不明 | 加工プロセス・品質保証・コスト構造の可視化 |
| 医療 | 専門用語が多くて理解できない/誰に相談すべきか不明 | 症例の整理・対応方針・専門性の説明 |
| 士業 | 報酬が高く感じる/何をしてくれるのか分からない | サービス範囲・ビフォーアフター事例の整理 |
| IT | 似たようなサービスが多い/導入効果がイメージできない | 導入前後の業務フロー比較・数値改善の説明 |
| 教育 | 子どもに合うか不安/他との違いが見えにくい | カリキュラム思想・受講者ストーリーの紹介 |
共通しているのは、
「分からないことを、落ち着いて理解できる場所が足りていない」ということだ。
トップページでは広く浅く。
SNSでは速く軽く。
営業では人手が足りない。
その隙間を埋める「文章としての理解装置」が、記事LPだと言える。
8. コアランゲージハブがやろうとしていること
コアランゲージハブが目指しているのは、
この「SNS → note → 記事LP → メルマガ → 依頼 → リピート」までを、単なるテクニック集ではなく、
企業ごとの“コア言語”にもとづいて設計することだ。
- PRB:課題と前提条件
- EMP:ペルソナとカスタマージャーニー
- BNF:ペルソナの理想の姿
- SLT:解決策の構造
- dsgn:機能性と情緒性のバランス
これらをバラバラにではなく、
一本のストーリー線として結び直すことで、
記事LPは単なる「売り込みページ」から、
企業と顧客をつなぐ“共有言語のハブ”になっていく。
終わりに──「売り方」より、「伝え方」の時代へ
ファネルの形やツールは、今後も変わり続けるだろう。
新しいSNSが生まれ、既存のプラットフォームがルールを変えることもある。
しかし、
「人は、理解できないものを選ばない」
という原則はおそらく変わらない。
記事LPは、その理解の階段を静かに支える、地味だが強い媒体だ。
派手な一撃よりも、じわじわと効いてくる“文章インフラ”をどう整えるか。
その設計図を、どの業界でも流用できるかたちで整理していくのが、コアランゲージハブの役割と言えそうだ。
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